先生からのお便り 2014年07月17日
診察室で、「悪いことをすると注射をうってもらいますよ」とお子さんを戒めているお母さんの声をたまに聞くことがあります。『注射は罰ではないのにな~』と心で思いながらも、診察の時間に追われ、なかなか声をかけることができません。
是非、予防接種が自分の健康を守るための大切な手段であることを、伝えてください。がんばって、泣かないで予防接種を受けることができたら、たくさんほめてあげてください。泣いてしまっても、がんばって接種したことを評価してあげましょう。
お子さんに、嫌なことを説得するのは根気がいります。説明すると、病院に来るのを嫌がって大変と心配なさるお母さまがいますが、黙って連れてきて、突然接種すれば、それは恐怖になります。
今、スマートフォンのアプリには「鬼からの電話」などという信じられないアイテムがあります。大人でも恐怖を感じる形相の鬼が電話をかけることにより、子どもに無理やり、言うことをきかせるアイテムです。確かに、一時的には恐怖で言うことをきくでしょう。でも、それは単なる脅しによる結果であって、親子の信頼関係にはほど遠いものがあります。今、世の中は安易な手段によって、物事を進める傾向にありますが、子育てや健康は安易な方法では解決できません。「嘘も方便」ということも、たまに必要なこともあるかもしれません。しかし、基本的には子どもに嘘や誤魔化しはやめていきましょう。丁寧に、お子さんに語りかければ、かならずお父さんやお母さんの気持ちは伝わります。