先生からのお便り 2013年10月31日
子どもの総合診療科
最近『総合診療科』という言葉をテレビで耳のするようになりました。でも、小児科医としては「昔から小児科は子どもの総合診療科なのに」という気持ちです。すべての小児科医が単一の臓器に関わる専門家ではなく、子ども全体を対象とする『総合診療医』なのです。子どものからだ、心理、そして発育の全体像を把握し、疾患を診るのではなく、子どもとその家族をサポートしていきたいと私たちは考えています。小児科医は総合診療医であることを基本とし、さらにそれぞれが専門分野を学んでいきます。私自身は白血病などの血液・免疫疾患、そして虐待、発達障害を中心に経験を積んできました。心臓・循環器を専門とする小児科医、未熟児・新生児を専門とする小児科医、腎臓を専門とする専門医等、それぞれが判断に迷うときにはお互い連携を取りながら日々診療にあたっています。
Q1) 子どものアレルギーが心配。アレルギー科に相談すればいいの?
アレルギー科のドクターの多くが内科医です。医師の業務は経験を積むことにより、そこから得られた知識を患者さんに還元することができます。現代社会において、アレルギーをもつお子さんは多く、高血圧に対応できない内科医がいないのと同様に、アレルギー疾患に対応できない小児科医はいません。喘息、アトピー性疾患、食物アレルギーなどのアレルギー疾患をもつ多くの子どもたちを診療してきた身近な小児科専門医に是非相談してください。
Q2)鼻汁が出ているときは耳鼻科?
鼻汁が出ているときは、小児科ではなく耳鼻科に行くご家庭も多いようです。理由は「治りが早いから」? かかりつけの耳鼻科の先生がいらっしゃる場合には、その先生にみてもらってください。お子さんの普段の様子を一番よく知っている先生に診てもらうのがベストだと思います。もし、これから耳鼻科を探すのであれば、診察の際、聴診器をあてて全身状態をみてくれる耳鼻科の先生を見つけましょう。できれば、お子さんの成長を見守り続けている小児科医のことを思い出していただければ幸いです。鼻汁だけでなく、咳も目立つときには、かならず小児科へ。
Q3)何歳までかかっていいの?
基本的に総合病院では中学生までが小児科となります。繰り返しになりますが、成長を観察するのも小児科の領域。思春期外来という言葉があるように、思春期の心身の悩みも担当です。小学校高学年になると赤ちゃんといっしょの待合室はプライドが許さないためか、小児科受診を嫌がる小中学生も多いと思います。その場合は、無理強いせずに『内科・小児科』や子どもの患者が多い『内科』の先生に診てもらいましょう。ただ、お願いが1つあります。学校や幼稚園でのトラブルが多くなったとき、朝なかなか起きられない、学校を休むことが多くなったとき、早い時期に是非小児科を受診してしてください。ひとりで全てを解決できないこともあるかもしれません。しかし、適切な道案内はできると思います。なお、ただの風邪でも2~3年に1度お会いすることができれば、小児科冥利につきます。
何科にかかるか迷った時には、小児科を!