悩ましい“水いぼ”|宇都宮市の小児科

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ちょっと得する豆知識

悩ましい“水いぼ”

ちょっと得する豆知識 2017年08月23日

今年もまた、水いぼ(伝染性軟属腫)に悩まされれ、つらい思いをしたお子さまがたくさんいらっしゃいました。お父さま、お母さまもきっとその対応に悩まれたものと思います。

水いぼはポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルスが皮膚で増殖し、広がります。良性で、感染力は強くありませんが、乾燥などで皮膚のバリア機能が低下した状態では果てしなく全身に広がります。

基本的には接触感染で、肌が触れ合うことで感染します。水を介して感染するわけではありませんが、ウイルスが付着した物との間接接触でも感染するために、プールのビート版やタオルの共有からも感染する可能性があります。そのため、多くの保育園や幼稚園では水いぼができているお子さんがプールに入れない状況が続いています。

 

でも、よく考えてみてください。手足に水いぼができていて、半そで、半ズボンで肌が触れ合えば感染してしまうのです。したがって、日本小児科学会、日本皮膚科学会ではビート板やタオルの共用は控えるようにアナンスしていますが、プールについては入ることを制限していません。からだに出来ている場合にはラッシュガードやTシャツで、手足に出来ている場合には防水絆創膏(ドレッシング―テープ)でカバーすれば問題はありません。しかし、園医をしている保育園の園長先生がご家族に水いぼについてのアンケートを行ったところ、多くのご家族が「水いぼができていた場合には子どもをプールに入れないでほしい」との意向があり、現在も制限しているとのお話を聞いたことがあります。

 

日本人は清潔感に対する意識が高く、ウイルスや細菌が『感染する』ことに対して強い拒否感を持たれている方が多いと感じています。けっして悪いことではありません。しかし、度を超すと生活上多くの不都合が生じてしまいます。人が迷惑を被らない限り問題はありませんが、水いぼには特効薬がなく、医師の見解も統一されていないため、混乱が生じています。一般的には専用のピンセットで水いぼを摘み取る治療が行われますが、摘まむので痛みを生じます。肌が安定した状態で掻きこわさなければ、ウイルスに対する免疫ができ、自然になくなります。免疫ができるまでには半年から2年かかりますが、痒みもほとんどなくお子さんにとって困ることはありません。一方、肌が弱いお子さんにとっては、二次的な炎症に伴う痒みを生じ、掻きこわすと一気に全身に広がるため、積極的な治療が必要です。最近では、痛みを軽減する薬をコーティングしたテープ(ペンレス)を事前に貼ることで痛みは軽減できます。

 

お子さんの肌の状況を考慮し水いぼの治療を選択してほしいと、毎年プールの時期になると考えてしいます。「みんなといっしょにプールに入れない」という心の痛みや治療による身体への痛みは、多くのお子さんにとって本来必要のない痛みなのではないのでしょうか。あなたのお子さんのため、いつもいっしょに遊んでいるお子さんのために、もう一度考えてみませんか。

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