

ちょっと得する豆知識 2025年02月09日
多くのお子さまが何らかのアレルギー疾患に罹患しています。3歳までにアレルギー疾患と診断された子どもは4割との報告もあります。特に小さなお子さまのいるご家庭では食物アレルギーがないか心配されているのではないでしょうか。乳児が約10%、小学生が3%といわれています。
食物アレルギーに関するお問い合わせは多く、「離乳食を始める前に検査を行いたいのですが」「◯◯を食べた後に口の周りが赤くなったので、子ども園から調べるように言われました」「小学校から食物すべての検査をするように言われたのですが」等々・・・
“View39 ”というダニやスギ花粉、食物全般を調べる検査があります。しかし、この検査の欠点は
①偽陽性が多く、本当は食べても問題はないのに、心配で食べさせられない状況がおこってしまうこと
②食物アレルギーの原因は長らく卵白、牛乳、小麦でしたが、今は卵白、牛乳、ナッツ類(クルミ、カシューナッツ等)に変わりました。そのナッツに関して検査項目に含まれていないこと
③食物アレルギーの診断において、現在アレルギーコンポーネントと呼ばれるそれぞれ食物のアレルギーを起こす蛋白成分を精密に検査することが一般的になりましたが、鶏卵のオボムコイド以外は調べられないこと(牛乳に対するガゼイン、小麦に対するω5-グリアジン、クルミに対するjug r 1等)
食物アレルギーに対する基本は『最小限の食べ物のみを制限する』が基本です。また、食物アレルギーの現在の治療は『食べられる範囲で少しずつ食べていくことで耐性を獲得し、普通に食べられるようになる』ことです。
血液検査によるアレルギー検査は、あくまで補助診断です。子ども園のなかには血液検査の結果を求める状況も稀にありますが、血液検査だけで食物アレルギーの有無を判断することは、子どもたちにとって、とても不幸な流れをもたらす危険があることをご理解ください。
食物アレルギーを心配なさる気持ちは十分理解できますが、子どもたちにとってご家族との楽しい食事の時間は何より大切なひとときです。食物アレルギーの検査はその大切な時間を過ごすために心配な要因を拭うためのものでもあります。心配を助長することがないように、主治医の先生とよくご相談していきましょう。