自尊心を育もう|宇都宮市の小児科

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先生からのお便り

自尊心を育もう

先生からのお便り 2025年02月02日

今、学校へ行きづらい、行かない子どもたちが年々増加し、最近の統計では34万人の小中学生が不登校の状態にあります。

 

当院ではこの5年間で150人の辛い日々を過ごしている子どもたちの相談にのってきました。学校へ行けない理由は、勉強の困難さ、友人関係、担任の先生との相性、部活動etc.・・・そして本人の特性も背景にあり、様々な要因が複雑に絡み合い、ひとつの理由だけで説明できることはほとんどありません。相談を受ける目的は学校へ行けるようになることではなく、それぞれが自分に合った生活を送ってもらうことにあります。数年後、再び社会に踏み出す流れをいっしょに考えて、今抱えている気持ちに寄り添い、少しだけアドバイスができればと考えています。多くの子どもたちと接するなかで、いつの日か一歩前に歩んでいける子どもたちの基盤となるものが「自尊心」だと感じています。学校に行けなくてもご家族から大切に思われていることを感じている子どもたちは自尊感情が保たれ、少し時間はかかりますが羽ばたいて巣立っていきます。学校へ行けないことで、多くの子どもたちは自己肯定感が低下しています。子どもたち本人にアンケートを行うと「ひとりぼっちだと感じる」「生きていてもしかたがない」等辛い状況が窺える項目にチェックが入ります。

 

大人の我々もときに自尊心が揺らぐことは多々あります。Googleで当院への辛辣なコメントを投げかけられたとき、迷惑をかけて申し訳ないという気持ちはあるものの、そこまでの言葉で責められなければならないこと?と感じることがあります。スタッフが子どもたちとそのご家族のために本当に一生懸命対応している姿を見ていると、反省すべき点はあるものの、スタッフに対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになります。明日からの診療を止めたくなる気持ちに歯止めがかかるのは、当院を信頼して来院してくれる多くの方々がいてくれるおかげで、本当に感謝申し上げます。我々大人は自尊心が傷つけられたとき、美味しいものを食べて、お酒を飲んで、スポーツでリフレッシュして、趣味に没頭して傷を癒します。しかし、多くの子どもたちはゲームに熱中するしか術がありません。

 

子どもたちの自尊心を維持するには、何気ない日々ですが一生懸命に過ごしている姿や行動を認め、少しでも頑張った姿があるならば誉めてあげてほしいと思います。年齢が進めば、徐々に辛い経験を味わう機会が多くなってきます。そんな時、傷ついた心を、そして辛い子どもたちのすべてをを受け入れてあげてほしいと願います。いいときだけでなく、ボロボロになったそのときに寄り添い、いっしょにその気持ちを抱えてあげてほしいのです。子どもたちは温かく見守ってくれる家族を必要としています。

少し長い道のりになるかもしれませんが、自尊心が維持できていれば、回復期はかならず訪れます。

 

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