感染症情報|宇都宮市の小児科

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お知らせ

感染症情報

お知らせ 2024年11月22日

宇都宮市駒生・宝木地区、鶴田近隣の11月22日現在の感染症情報をお伝えします。

 

 

コロナ禍が終わってこの1年半、溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、夏かぜウイルス、そして昨年9月からA型インフルエンザ、今年2月からB型インフルエンザ・・・コロナ禍で減少していた反動かのように様々な風邪が吹き荒れました。溶連菌、インフルエンザ以外、基本的に特効薬はありません。無理をせずに、体調を整えながら、症状が改善するのを待つしかありません。もうしばらく子どもたちの健康状態をあせらずに見守っていきましょう。

 

< インフルエンザ >

昨日、複数の小学校でA型インフルエンザの児童が確認されました。今年も例年より早い流行が来るものと思われます。早い時期のワクチン接種をお勧めします。

 

< 手足口病 >

この夏手足口病が流行し、一時減少傾向にありましたが、先月より再び増加しています。手のひら、足の裏、お尻や膝に発疹が出現し、さらに口内炎ができる夏かぜを代表する疾患です。39℃前後の発熱が1~2日続きます。コクサッキーウイルス、エンテロウイルス等、数種類のウイルスによる感染で、夏は発疹が太ももから足全体に、口の周りにと範囲が広く、典型的な発疹パターンとは異なる一方で口内炎が少ないのが特徴でしたが、今回流行している手足口病は比較的典型的で手のひら、足の裏に水疱や紅斑が出現し、口内炎が目立つお子さんが多い傾向にあります。したがって、食事が食べられない辛い経過のお子さまも多く、すぐに登園できない状況にあります。まれに脳炎等を発症することがありますが、多くのお子さまは数日の経過で回復します。

感染リスクは症状がなくなってもさらに2~3週間と長期におよぶため、感染を防ぐことが困難な疾患です。“お互い様”の気持ちで、感染に対してナーバスになりすぎないことが大切です。治療薬はないため、早く診断しても意味はありません。発疹を一生懸命に探す必要はないと思われます。

食欲がないときにはのどにしみないのど越しのよいお食事を、のどを痛がって食べてくれないときにはゼリーや杏仁豆腐などデザート類でOK、こまめな水分摂取を心がけましょう。

 

 

< 新型コロナウイルス感染症 >

現在は大人も子どもも罹患者は減少しています。

 

新型コロナウイルス感染に関してこの1年の経緯を振り返ると、昨年2023年1~2月に流行し3月に減少、しばらく罹患者が途絶える時期もありましたが、4月に再び罹患するお子さまが出始めました。5月後半からさらに増加し、2回感染するお子さまも認めるようになりました。夏休み明け9月をピークに、10月インフルエンザの流行と入れ替わり、秋は感染が一時途絶えていました。しかし、2024年1~2月は再び増加し、そしてこの夏もと、冬休み明けと夏休み明けに増加する周期を繰り返しています。ご家族皆様それぞれに体調を気づかい、体調が思わしくないときには無理をせずに休むことが大切です。

オミクロン株出現以降、新型コロナウイルスは子どもにとって“ただの風邪”ではなくなりました。昨年3月以降、この日本において、基礎疾患のない健康なお子さま20人以上が尊い命を失っています。どうか侮ることがないように。

 

<RSウイルス感染症>

・例年早秋から年末に流行するRSウイルス気管支炎がコロナ禍の影響で流行の時期が定まっていません。現在流行はありません。

RSウイルスは大人はただの鼻かぜ、年齢が小さなお子さまほど重い気管支炎を呈し、生後半年未満の赤ちゃんが罹患した場合には呼吸困難により入院を要する場合があります。治療薬はありせん。いつもの咳と違うなと感じた際には早めに受診してください。なお、RSウイルスに対する抗原検査は入院を前提とした場合にのみ認められています。1歳を越えたお子さまの咳の出始めや念のための検査は行えませんので、ご了承ください。

 

<マイコプラズマ感染症>

・マイコプラズマによる気管支炎・肺炎の増加がこの夏から報道されてきました。当院でも9月中旬から小学~中学生を中心に日々マイコプラズマ肺炎が確認されています。発熱が続き、咳嗽が徐々に増えてきた際にはマイコプラズマ感染を疑っての対応が必要となります。マイコプラズマ感染の診断において喉の奥を綿棒でこすっての抗原定性検査が一般的ですが、検査キットが不足しています。また、インフルエンザや新型コロナ、溶連菌等、他の抗原定性検査に比較して感度が低い傾向にあり、検査結果より臨床的に疑って、治療につなげることが大切です。

 

<その他の気管支炎関連疾患>

・ヒトメタニュウモウイルス感染は途絶えています。

・パラインフルエンザによるクループ症状、辛い咳嗽や長引く発熱等の気管支炎症状を呈しているお子さまが散見されます。一般的な抗原定性検査はなく、フィルムアレイと呼ばれる遺伝子検査により診断される場合が多く、総合病院での入院した場合等に限定されます。

 

<感染性胃腸炎>

ノロウイルス感染症は毎年この時期に大流行でしたが、コロナ禍以降流行の時期がずれて、現在目立った流行はありません。しかし、油断はできません。家族みんなで手洗い、感染予防に努めましょう。

 

胃腸炎症状に対するご自宅での対応についてお話しします。急に吐き出したときには、あわてずにおなかを休めましょう。脱水を心配してすぐにたくさんの水分を飲ませても胃は受け付けてくれません。吐けば吐くほどに体調は悪化します。1~2時間は口を潤す程度の水分で十分、少し吐き気が落ち着いたなと感じたら20~30分間隔で少量(20~30ml)水分を飲ませてあげましょう。もしまた吐いてしまったら、もう1時間待ちましょう。ノロウイルスの吐き気は半日で軽快します。半日後吐き気がほぼなくなってきたら、お粥、おじや、煮込んだおうどんなど、炭水化物中心のお食事を始めましょう。空腹が長時間続くことはいいことではありません。一方、ロタウイルスは半日で状態が回復することはなく、1日経過しても元気なくぐったりしているときには、かならず病院を受診しましょう。風邪の予防もかねて石鹸での手洗いをこまめに行っていきましょう。ノロウイルスもロタウイルスも感染力はとても強く、アルコール消毒は効果がありません。

 

< 水 痘 >

・現在、罹患者は途切れています

2回の定期予防接種が功を奏していると思われ、全国的な流行はほとんどなくなりました。しかし、ワクチン未接種、数年前にワクチンを1回接種したお子さまが罹患し、その感染を契機に一部の集団での流行に波及しています。水ぼうそうの感染力は非常に強く、短時間の接触でも感染します。2回目の接種を忘れているお子さんが多数見受けられます。接種対象者のお子さまはできるだけ早く、2回の接種を終了しましょう。今まで流行の中心は1回接種の小学生でしたが、今回は2回接種している小学生が罹患しています。

 

<流行性耳下腺炎>

・この3年、おたふくかぜの流行はありません。

昨年、おたふくかぜワクチンの製造過程でのトラブルがあり、十分な供給ができない状況がありましたが、現在ワクチン流通は通常に戻りました。日本のワクチン行政が変わらないと、このような事態はいつまでも繰り返されます。

宇都宮市において、この4月からやっと接種費用の補助が始まります。1歳児、年長さんに対して、3,000円の補助が受けられます。対象年齢のお子さまは是非この機会に接種をご検討ください。

 

新聞などでも報道されましたが、耳鼻科学会がおたふくかぜによる聴力障害に対する警告を出しました。おたふくかぜは決して軽い疾患ではありません。流行した年には、合併症で数百人が聴力障害を併発します。一般的には片側のみの聴力障害ですが、予想以上に両側の耳が聞こえなくなってしまったお子さまが多いことが報告されました。残念ですが、現代の医学では聴力をもどすことはできません。おたふくかぜを防ぐには、予防接種しかありません。流行が途絶えているこの時期に、まだ接種なされていないお子さまは是非ワクチンを!なお、今回の流行では、小さい頃に接種を受けていても、典型的なつらい症状を呈している方が多数みられます。1回の接種では、2~3割のお子さまは免疫が低下し、罹患してしまいます。麻疹や水ぼうそう同様に、2回の接種を是非ご検討ください。

 

< 麻 疹 >

海外から麻疹ウイルスがたびたび持ち込まれ、日本の一部の地域で流行が繰り返されています。4年前沖縄県で流行し、多くの県に感染が拡大し、罹患者は全国で150人を超えました。3年前、三重県~大阪府等関西地方において流行が拡大し、700人ちかくの罹患者を認め、この数年で最も多い罹患者がでてしまいました。コロナ禍においては海外からの来日者が途絶えたため流行はありませんでした。しかし、海外との流通、交流が再開されました。そして昨年のGW、海外からの帰国者から新幹線内において複数の感染が確認されました。流行はさらに世界的に拡大、日本においても感染拡大が危惧されています。麻疹風疹混合(MR)ワクチン対象年齢(1歳児、年長児)の皆さん、早い時期に免疫をきちんとつけていきましょう。年長児の皆さん、1歳で得られた免疫は消えかかっています。今年は特に早めの接種をお願いいたします。

なお、23歳以上の皆さまは、麻疹・風疹の十分な免疫がない可能性があります。これから生まれる新しい命を守るために、できるだけ麻疹風疹ワクチンの追加接種をお勧めします。

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