2018年を振り返って|宇都宮市の小児科

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先生からのお便り

2019年 新たな年に : CAPを通して子どもたちの生きる力を信じよう!

先生からのお便り 2019年01月04日

明けましておめでとうございます。このお正月、家族団欒のひとときをゆっくり過ごされましたでしょうか。新年が皆様にとって素晴らしい年になることを心よりお祈り申し上げます。

 

ご家庭での楽しい時間が、明日への力になります。子どもにとっても、私たち大人にとっても、楽しかった気持ちを胸に、ちょっと気が乗らない状況においても、その気持ちを越えて学業に、仕事に頑張ることができるのではないかと思っています。日々すべての出来事が、希望に満ち溢れた生活への一過程と捉えられればいいのですが、なかなかそうポジティブに考えられる方ばかりではありません。当然ですが、子どもたちも日々不安やストレスに押しつぶされてしまいそうなことが多々あります。そのようなとき、安心できるご家族の支えが何よりも一歩踏み出していく勇気につながります。しかし、子どもたちのまわりには大人が想像する以上に多くの不安要素が溢れています。

 

昨年皆様にご迷惑をかけてしまいましたが、夏(富山市)と秋(郡山市)に数日お休みをいただいて、CAPスペシャリストの講座を受けることができました。CAPとはChild Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の頭文字をとったもので、子どもたちがいじめ・暴力・虐待・体罰・誘拐・痴漢・性暴力といった様々な暴力から自分の心とからだを守る暴力防止のための予防教育プログラムのことです。すべての子どもたちが安心して、自分を大切な存在と感じ、自分んで行動選択ができるように、子どもの視点から人権尊重に徹したエンパワメント教育活動を展開していきます。具体的には、保育園・幼稚園、小中学校1クラスごとにロールプレイを通して、困ったときに自らがどのように対処していったらよいのかを学んでいきます。従来の「~してはいけません」式の危険防止教育とは根本的に異なり、子どもたちの大切な権利『安心・自信・自由』について学び、自分を守る力を身につけます。さらに、CAPメンバーが個別にお話しをすることにより、実際に困っている課題に対していっしょに考え、解決へのきっかけをつかむ方法を模索していきます。嫌なことは「嫌って」言っていいんだ、一人でがんばらないで誰かの力を借りよう、相談していいんだ!というCAPのメッセージは子どもたちの心の奥深くに届き、大きな気づきを起こしてくれるでしょう。

 

1978年アメリカのフェミニズム運動から生まれたCAPは、1995年に森田ゆりさんを通して日本にも引き継がれる、この15年間で2000人近いCAPスペシャリストが誕生し、約390万人もの子どもや大人がCAPワークショップを受けています。しかし、残念なことにこの宇都宮市においてはまだほとんどワークショップが行われていないのが現実です。CAPワークショップはお父さまやお母さまが地域の人たちといっしょに、学校に、教育委員会に、行政に働きかけて、はじめて実践することができます。このCAPという子どもたちにとって大切なプログラムの存在が宇都宮市において認知されるよう、少しでも啓蒙していけたらと考えています。

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